DESIGN STORY 11
シール・ラベル製作事業者のビジネスを転換、お弁当の掛け紙をシールに!
受身のビジネスモデルから提案できるスタイルに
私自身印刷会社で働いたこともありますが、受注産業と言われるように印刷関係はどうしてもビジネス的に受身になりがちな上、斜陽産業でもあり、提案力の乏しい会社は生き残れなくなってきました。そんな中でビジネス転換を図る小さな会社の実例をご紹介します。
今回のクライアントはワッカデザインと同じ東京都豊島区にあるシール・ラベルのデザインから製作まで請け負う総合商社。創業40年を数え、元々は高度経済成長期にスーパーで使う値札ラベルの商社として創業されたそうで、そこから派生しプリンター、カタログ、パンフレット、封筒、伝票といったように取扱いを増やしてきました。そういった中で新たなビジネス展開としてテイクアウト用のお弁当に貼る掛け紙をシールで作るサービスのランディングページを作りたいとWebサイトからお問い合わせいただいたのがきっかけです。
ピタッと貼れるからズレない新たな掛け紙
昨今テイクアウトサービスが定着しましたが、特有のトラブルも多いようです。運んでいる最中にお弁当の中身がこぼれてしまったり、そもそも持ちにくかったり…。そこでシール・ラベル業者としての製作力を活かし、その掛け紙そのものをシールにしてしまったらどうか、それをアピールするためのサイトを制作して欲しいというご相談内容でした。発想的には面白いと思いますし、ニッチなニーズは確かにありそうなのですが、こういった案件だと悩ましいのがSEOや広告的な打ち出し方。誰も知らない新製品はweb検索でたどり着いてもらうのが大変なのです。
そのため、潜在的にニーズのある人に対してきちんと訴求できるようにメッセージとコンテンツの組み立て、トーン&マナーも同時に決めていくという一連の作業をランディングページ制作の中で積み重ねていくことに。お客様の方も制作依頼に慣れているわけではないので、一緒に考えていくというスタイルを取り、コミュニケーションでの齟齬が生まれないよう進めていきます。当初からSEOを意識し、ランディングページの中に投稿コンテンツを入れ込み、その考え方や更新の仕方もレクチャーしています。
LP公開後はキーワード調整と紙ツールへの展開
こういった世の中にも新たなサービスの場合、SEOのキーワードは公開後の調整も必要です。流入しそうなキーワードを発見次第投稿コンテンツに記事として入れていく、というのを繰り返し、少しずつアクセスが改善していくという仕組みです(よく新規サイト提案時に説明するのですが、サイトが一定の成長を見るのに半年はかかります)。同時に紙のダイレクトメールを行うなどしていくと、高級弁当や贈り物などの高級路線にもニーズがあることがわかり、リーフレットはランディングページよりも上質感やカスタマイズ性を盛り込んでいく方向性に。カメラマンにお願いしてきちんと撮影も行っています。
スタートアップは一直線にはいかない、柔軟な姿勢が不可欠
事業にしても企業にしてもスタートアップでのプロモーションは当初立てた戦略通りに収まるケースは少なく、やってみてのトライアンドエラーを繰り返して成長していく路線が現実には合っています。デザインについても必ずしも最初のブランディングに固執することなく、より実態に合った制作に調整していくことで本当の意味でのブランドが形成されていく、それくらいの柔軟さがないとビジネスが回りづらいのですが、クリエイター側にそういう姿勢を持った人というのも多くなかったりします。ワッカデザインはこれまで様々な形のスタートアップ支援を行ってきました。これから起業される方、新事業を始める方、お困りの際はぜひ一度お気軽にご相談ください!