【経営雑談Vol.22】プレゼンとは違うの?ピッチって何?からスタートアップを考える!ただの独立起業・スモールビジネスとどう違う?
<タナカの経営雑談まとめ>
今回はタナカが以前していたというベンチャーキャピタル支援の経験から、スタートアップ界隈で飛び交う「ピッチ」という言葉をテーマに雑談をしています。単なる会社説明であるプレゼンとは異なるピッチに独特な資料の構成や、シードからレイターといった投資ラウンドごとの違いなどを解説。さらに、赤字を掘ってでも急成長を目指す「スタートアップ」と、着実な利益を追求する「スモールビジネス」の根本的な違いなどにも触れています。
<詳細まとめ>
「プレゼン」と「ピッチ」の決定的な違い
ビジネスの現場では、「プレゼン(プレゼンテーション)」と「ピッチ」は混同されがちですが、スタートアップ界隈における「ピッチ」はより明確な目的があります。それは、投資家に向けて「自分の事業アイデアを投げ込み(ピッチング)、資金調達を引き出すこと」です。 そのため、自社の事業内容を淡々と語る会社案内のようなプレゼンとは異なり、ピッチには特有のストーリー(型)が存在します。 まず最初に「世の中のどんな課題を解決したいのか」という社会課題やペイン(困りごと)を提示し、投資家の共感を生むことから始まります。その上で、「どうやって解決するのか(事業内容)」「市場規模はどれくらいか」「事業計画」「チーム構成(誰がやるのか)」、そして最後に「いくら投資してほしいのか」を語るのが王道の流れです。どんなに優れたアイデアに見えても、「誰も困っていない」「市場が小さすぎる」といった場合は、投資家の関心を惹きつけることはできません。
成長フェーズ(投資ラウンド)で変わるピッチの戦い方
スタートアップには「シード」「アーリー」「ミドル」「レイター」と呼ばれる成長のステージ(投資ラウンド)があり、各フェーズによってピッチで重視されるポイントは変わっていきます。 事業がまだ立ち上がっていない「シード」や初期の「アーリー」の段階では、実績や売上の明確な数値がないため、事業計画を語っても絵に描いた餅になりがちです。そのため投資家は、「解決すべき課題の切実さ」と「チーム構成(経営陣のバックグラウンドや専門性)」を厳しく見ます。「解決できたらお金を産みそう」という期待感や「この優秀なチームならやり遂げそうだ」という属人的な信用が資金調達の鍵を握ります。 一方、「ミドル」やIPO(上場)が見えてくる「レイター」の段階になると、すでに事業が動き始め成長軌道に乗り始めているため、ピッチの力点は「いかに市場を拡大し、どこまでスケール(急成長)できるか」という具体的な実績や成長性の証明へとシフトしていきます。
赤字前提の戦いと独自の「企業価値評価(バリュエーション)」
ピッチによる資金調達(投資家からの出資)と、銀行からの融資には決定的な違いがあります。銀行融資は毎月コツコツと返済が始まりますが、スタートアップは事業を拡大させるために先行投資を行い、数年単位で「多額の赤字を掘りながら急拡大を目指す」のが一般的です。毎月の返済能力はないため、返済義務のない投資家からの資金(エクイティファイナンス)を必要とします。 そのため、スタートアップの企業価値(バリュエーション)の測り方も特殊です。一般的な中小企業のように、過去の利益(PL)や純資産(BS)をベースにするのではなく、「今は赤字だが、将来これだけ大きな市場価値やリターンを見込むから、現在の企業価値は◯億円だ」と、起業家自身が未来のポテンシャルを含めた「バリュエーション」を提示し、投資家がそれをジャッジするという形が取られます。近年話題のYouTube番組『REAL VALUE』も、まさにこのピッチとバリュエーション評価の仕組みをエンタメ化したものになっています。
「スタートアップ」と「スモールビジネス」の境界線
話を進める中で、ワッカーさんは「独立起業した小さな会社はすべてスタートアップだと思っていたが、実は立ち位置や考え方が全然違う」と感じたと言います。スモールビジネス(一般的な中小零細企業)は、既存のビジネスモデルで着実に利益を出し、安定的に会社を存続させることを目指しますが、一方のスタートアップは、全く新しいビジネスモデルやテクノロジーをテコにして急激な規模拡大を目指し、最終的にIPOやバイアウト(事業売却)で投資家に何十倍ものリターンを返すことを目指す存在です。10社に1社、あるいは100社に1社の大当たりを狙うハイリスク・ハイリターンの世界です。 ワッカーさんのデザイン会社のように、人に依存するビジネスモデルは、Webサービスや工業製品のように、「数億円の投資」を入れても、顧客数や商品数を急激に増やして売上を100倍にするということは構造的に難しいため、VC(ベンチャーキャピタル)などの投資対象にはなりません。自身の立ち位置が「スモールビジネス」であることを再確認しつつも、いつか全く別の領域で「スタートアップ的な事業」に挑戦してピッチの舞台に立つのも面白いかもしれないと、新たなビジネスモデルに興味を示して雑談は締めくくられました。
次回は中小企業の生命線とも言える融資に関する話題です。
「経営雑談」は池袋と目白の間にある小さなデザイン会社ワッカデザインの社長ワッカーさんと友人のタナカが中小企業経営のリアルを雑談形式でしゃべる肩に力の入らないyoutube番組です。気になったら動画も見てみてくださいね。
それではまたお会いしましょう!




