DESIGN STORY 03

品格のある“美味しい”をデザイン、季節性の高いビジュアルとSPツールのトータルディレクション

その施設ならではの「らしさ」を醸成

飲食・ホテル関係のグラフィックデザインというと「シズル感」の言葉のせいか、やったことのない人からするとちょっと身構えてしまうものです。今回はワッカデザインが設立当初から年間通じて手がけている、都心におけるシティホテルの撮影コーディネートを含めたトータルディレクションの例をご紹介します。

当初のきっかけは季節毎に発行している各レストランのコース料理を紹介するパンフレットを制作してほしいというものでした。こういったパンフレットはどこのホテルでも大抵発行しており、今回の案件で特に変わった何かが要求されていたわけではありませんが、それでもデザインの根幹となるポリシーが変われば、見る人に与える印象も結構変わってくるもの。まずはターゲット層に合ったトーン&マナーを一年かけてイチから構築していくようなつもりで紙面のデザインと、主役であるコース料理の撮影には最大限こだわろうと胸に秘めて臨んだのでした。

写真を活かすためにデザインするということ

霞が関や有楽町、銀座にもほど近い立地にありながら、比較的リーズナブルな価格で提供しているコース料理とはいえ、ホテルらしい品格を料理写真で演出したいと思うと気を遣うべきところはかなり多かったりします。下に敷くクロスをどうする、季節に合った小物をどうする、全体の光の入り方をどうするといったようなことは事前に考えて用意しておかないと撮影当日に慌ててもどうにもなりませんし、当日は当日で順を追って出てくる料理の配置はもちろん、細かな盛りつけや撮影のための調整(器の中で高さが足りないものは下に何か敷くとか、照りを出すために油を塗るなどといったこと)は、一品一品きちんと向き合っていかないと一定以上のクオリティの写真にはならなかったりします。今回のように料理が7、8コースくらいあるなら、パンフレット上で単調にならないよう、適度に写真に変化も付けつつ全体としてトーン&マナーを策定していくという具合で、とにかく集中力が必要。未だに1日かけて撮影すると帰りはぐったりと疲れます。

看板や各種ツール、アニバーサリーロゴまで!

こういったホテルでの仕事というのは勤めていた頃もやったことがありますが、パンフレットのデザインが出来てくるとポスターや看板等にもデザインを展開していくのもまた面白いところ。手元で見せるパンフレットのレイアウトと一枚で見せるポスターでは同じ料理でも最適なイメージは異なったりしますし、看板ともなってくると本当にホテルのデザイン全体を手がけているんだな、という実感も出てきます。毎回必ずというわけにもいかなかったりしますが、なるべく手がけたものが実際にどう見えるかを検証しにいくことで、どうしても日頃からMacの前でIllustratorのデータばかり見ていると見えなくなりがちなところを補正したりもします。そういう意味では、パンフレット、チラシ、ポスター、看板と役割の異なるツールが一通り揃っているホテルの案件は、グラフィックデザインにおける見せ方のベースとなるようなものなのかもしれません。

写真のクオリティ感がデザインの印象に直結する

実はこのホテルでの案件で出会ったカメラマンはとても良い出会いでした。これまでも色々なカメラマンの方と仕事をしてきましたが、明らかに腕はピカイチ。イメージカットでの勘の鋭さは今でも感嘆とさせられ、またブツ撮りにおけるライティングは百戦錬磨のスペシャリストとも言うべきクオリティで、今では飲食・ホテル案件以外でも全て同じ方にお願いしています。CGでの作り込み等とはまた違った、撮影一発撮りでのビジュアル作り。こういった方と一緒に仕事ができるというだけでデザイナー冥利につきる、そんな気さえしてきます。

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