DESIGN STORY 13

長年情報差し替えで更新し続けてきた130ページ超の製品カタログ。顧客へのコミュニケーションツールとしてリニューアル

製品写真とスペックだけでは良さが伝わりづらい

かつてはBtoBの製品カタログと言えば製品写真と簡単な説明、仕様、定価の羅列で何十ページ、何百ページにも渡るというのが普通でした。そんな旧態依然としたカタログを更新し続けるのをやめ、顧客との接点と捉えることで全面リニューアルした実例をご紹介します。

今回ご紹介する実例は最近では珍しくなった130ページ超の紙のカタログリニューアル。Webサイトから問い合わせいただいたのですが、長年お願いしている制作会社に思いを伝えてリニューアル提案をしてもらったところ、現行のものとほぼ変わらなかったため、新たに制作会社を探しており、それも100ページ以上の製品カタログは一つの制作ジャンルなので、提案力があって経験もある会社を探しているとのこと。お客様は輸入壁紙の商社のため、同じジャンルの実績はありませんが、BtoB、BtoCともにカタログ制作経験はある旨を伝えたところ、まずは提案させてもらえることになりました。

キャッチコピーとコラム、ワンポイントアドバイスで製品に思いを吹き込む

元々160ページほどあるカタログだったので製品点数だけでも相当な数あるため、カタログとして大前提の情報の見やすさや検索性はそのままに、エディトリアル的な要素を付加しつつ1冊を通してレイアウトに変化をつけることで伝達力の改善を図るという方針でリニューアル提案を制作することにしました。見開きの中に製品の良さをわかりやすく伝えるキャッチコピーを配し、なるべく多くの製品に関するTIPSやワンポイントアドバイスを入れ込み、メインで見せたい写真とそれ以外のものに大きさに差を付け、余白のリズムを生む。そこに表紙案やトーン違いの案なども盛り込みプレゼンに臨んだのでした。

デザイナーの製品理解と顧客への共感が大きな差を生む

その後、他社の提案と比較された結果ワッカデザインの案を選んでいただくことができ、いざ本制作が始まりました。まずは大量の製品情報を理解し台割りでの提示をしつつ、打ち合わせを重ねることで完成形へのイメージを固めていきます。この辺りをしっかりお客様も交えて行っていくかどうかでその後の進行のスムーズさが全然違うため、結構大事なフェーズですが、担当デザイナー的にはその後が本番。各製品シリーズがどういったものなのか、ユーザーにはどういう風に感じてもらえば良いのか、と言ったところが細やかに見えていないと、効果的なレイアウトにはならないため、調べてはレイアウトを繰り返します。

メインのキャッチコピーでその製品がどう見えるか決まる

各見開きごとに大きなポイント数の文字でキャッチコピーを入れることにしていますが、ユーザーからするとその言葉遣いのニュアンスでそこにある製品がどう見えるかほとんど決まってしまうため、こういったカタログではメインのキャッチコピーはとても大切。出し戻しの度に何度も推敲を重ね、できる限り違和感なくその魅力が伝わるような言葉を紡ぎ出していきます。グラフィックデザイナーはコピーライターではありませんが、言葉に対する感受性があるかないかは仕事のクオリティに大きく影響するため、日頃から感性を養っておくことは大事なことです。

ショールームやシーンの撮影、色校の立ち会いを経て完成

商材は輸入壁紙のため、製品画像については基本的にメーカー支給のものがありますが、ユーザー事例やショールーム、使用シーンなどの写真についてはワッカデザインのディレクションで撮影を行いました。さらに今回はこれもまた最近では珍しくなった色校正の立ち会いも。壁紙のデザインを見せるカタログなので一つ一つシビアに見て、いよいよ印刷。デザイン会社としてはここまでで仕事は完了ですが、刷り見本が届くまではどうも落ち着かないもので、毎回届いたものを見るととてもホッとして、作り上げた喜びが湧き出てくるものです。製品カタログもそのノウハウを持っているデザイン会社は多くはありません。お困りの際はぜひ一度ワッカデザインにお気軽にご相談ください!

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