初の施工会社を挟まない展示会デザイン
以前は展示会関連のデザインの仕事が年間最も多い時期もあったワッカデザインですが、コロナ禍で壊滅して以来すっかりナリを潜めてしまい、僕自身も積極的にアピールしないのもあって過去の経験みたいになっていたのが、ここ1、2年は少しずつ展示会関連の仕事もまた増えてきました。以前と異なるのが、イベント会社を挟まないでお客様から直接受注する案件が多いということで、それだけに最近は図面から自分である程度起こしたりすることも普通になりました。しかしながら、そんな中でも今回の案件は異色といえる存在かもしれません。
今回ももちろん当初はいつもの展示会案件のように施工業者に相談して木工主体のブース製作を検討していたのですが、どう考えても予算に収まらない。それもちょっとやそっとではなく全然収まらないため、オクタノルムシステムというポールやパネルなどのパーツを組み合わせてブース設営を行うパターンで進めることになったのです(ちなみにこのポールが八角形をしていてその各面にパーツを差し込めるスリットがあることから「オクタ」と言うようです)。当然いつもと違って平面図・立面図も自分で書かないといけないし、そもそもこのオクタノルムシステムのパーツの種類や寸法を理解してやらないとおかしなことになってしまうので、いつもと違った勉強をしながらの仕事でした。
LEDパネルや備品なども手配しつつ、2日前に現地入り
LEDパネル用のフィルムやテンションファブリックなどの出力物もいつもなら経験豊富な施工会社にマルっと頼めて細かなこと言っても安心なのに、今回はそれもできずえらく不安になりつつなるべく余裕を見て、現地入りできる一番早い時間として開催2日前に行くことにしました。オクタノルムは決まった寸法のパネルを組み合わせてブース設営するので僕の図面で行った計算とズレるはずないのですが、それでもぴったり収まると気分が良いものです。LEDパネルは土台となるパーツを取り付けてその上に固定するのですが、狭い壁面だとSカン+チェーンになったりしたものの他社のブースもよく見てみると壁面全面をターポリンで同じようにSカンで取り付けたりもしていたので、そのあたりはいつか活かせるかもしれないですね。電気の配線は自分では全くできないので(電気関係は資格が必要)見ていただけですが、オクタノルムのパネルの上のレールに沿って配線していく様子も勉強になりました(梁みたいなパーツもあるので、必要に応じて上から配線できる)。そこまでくればあとはちょっとした装飾回りをやってブース完成!今回は暗めの小間位置だったので照明は明るいものを多めに設置したのもあって、周りのブースよりもひと際輝いて見えたのには正直感動。こういう時にはこういう照明の方が良いとかも一つ一つが展示会の仕事を行う上での知見なんでしょうね。
隙間時間には今治城へ!
いつも仕事で地方に来るととてもじゃないけど観光する気にはなれないものですが、何か一つくらいはするようにしていて、今回は会場と駅の間にある今治城へ。正直あまりお城に興味があったわけでもないのですが、展示会が始まって午前10時過ぎ、人っ子一人いないお堀の風景を歩いていて、お城の空間を独り占めできるのも良いかもしれないと思い立って入ってみたのだが、これが当初の思いと反して悪くなかったですね。最近こっそり戦国時代を勉強し直しているというのもあって、まず築城が藤堂高虎と知ってちょっと感慨深い思いに浸りつつ刀やら調度品やらを鑑賞。最上階から周りを眺めてみると瀬戸内海を遠く見渡せて海城であることを実感できます。また虎口が90度直角に曲がるようになっている枡虎口となっていて、その門(鉄御門)を上から入れるのにワクワクします。外的の侵入を察知するための小窓や弓矢や鉄砲が撃てる格子状の窓など覗いてみると、確かにここから無数の鉄砲が撃ちこまれればひとたまりもないことが実感でき、ひとり悦に浸ったりしていました。
泊っているホテルに食事はついていなかったので毎回外食でしたが、これも案外よかったですね。最初はやっぱり鯛めしを食べてみたのですが、ブース設営の合間にスーパーで買って食べた謎のどんぶり、チャーシューに目玉焼きが乗っているごはんものが非常においしく、すっかり虜に。同じスーパーで2回食べ、ホテル付近の飲食店でも2回食べるというハマりっぷりで(チャーシューの甘いタレと目玉焼きと豚肉の相性がすごく良いのかな)、もちろん鯛めしも良いけど(実際刺身も美味しかった)、個人的にはこっちの方がおすすめ!これ東京で売り出したら新たな肉丼として流行るんじゃないかな…!愛媛県、また来たいな、と思わされました。