そもそも何にそんなにお金がかかるのか?
ワッカデザインの仕事でもコーポレートサイトを作ったり、製品パンフレットを作ったりする際には、撮影が伴うということも少なくありません。会社にお邪魔して社内の風景や社長・社員の撮影をするとか、製品をきちんとしたスタジオでブツ撮りをするとか、レストランなどであればコース料理を撮影するとかそうしたことは、フリーランスとして独立した当初からやっていました。撮影はどれくらいのカット数があるとか背景の作り込み、小物をどこまで準備するかなどで費用は変わってくるものですが、それでもこうした内容であれば10万円いかないくらいから20万円のうちに収まることがほとんどだと思います。ワッカデザインの社内にはカメラマンはいないので、案件の内容に応じてそのジャンルが得意なカメラマンを都度アサインするようなスタイルですね。本当に予算が苦しい時は僕自身一眼レフカメラを使って撮影することもありますが、それは本当に例外的なことなので、デザインに伴う撮影というと多くはこういった感じのものになります。
それが100万円を超えるとか数百万円に及ぶという撮影はそしたら一体何にお金がかかるのか?と言うと、先ほどの撮影には出てこなかった男性や女性のモデルを入れるとか(メイクさんやスタイリストさんも必要になったりもします)、ハウススタジオを借りるとか(高いところだと1時間6万円とかもあります。1日8時間借りたらそれだけで48万円!)、さらにそこにインテリアをリースして入れるとか(プロップと言って美術さんにお願いすることが多いです)、そして撮影が1日で終わるとは限らないので、仮に3日スケジュールしたら、これらが3日分かかるわけで、そうなると意外とすぐに100万円どころか数百万円ということもあり得ます。そもそものカメラマンさんも人によって金額がかなり変わるというのと、レタッチにも別途費用がかかりますので、カット数やレタッチの難易度に応じてそういったところにもお金がかかるというわけですね。
モデルをオーディションして決めよう!
そしたらまずはモデルから見ていきましょう。モデルと一言で言っても案件や制作するビジュアルによって合うモデルさんは変わってくるので、モデル事務所やキャスティング会社にお願いして条件に合うモデルを紹介してもらうというのが一般的です。年齢や雰囲気的な条件、案件の条件、予算、撮影スケジュールなどで、どれくらいの人数のモデルが候補として集まるかは毎回結構違うのですが、つい先日の例だと某メーカー様のプロモーションビデオを撮影するためにお願いしたら50人集まったので、まずはお客さんや撮影部隊と一緒に書類でどういった人が良いかをざっくり選んでいきます。ここで書類だけで決めてしまうこともあれば、オーディションを行うこともあって、オーディションも最近はzoomなどでオンラインでやることもあれば、会議室などで一人一人呼んで行うこともあります。オーディションをやるとしてそこに呼ぶ人数もケースバイケースなのですが、数名なこともあれば20名くらい比較検討することもあって、大抵は半日以上かかることが多いですね。モデルに触発されて撮影の方向性がちょっと変わったりとかもあって、オーディションしつつもクリエイティブな打ち合わせ、という感じもあったりして、これ自体結構楽しい時間だったりします。
メイクさん、スタイリストさん、美術さん
モデルが決まったら、メイクさん、衣装等を担当するスタイリストさん、インテリアはじめ撮影小物全般を担当する美術さんあたりのスタッフの有・無次第ではあるのですが、彼らとも打ち合わせて方向性を確認したり、準備するものをお願いしたりします。メイクさんはわりとイメージしやすいと思うのですが、メイク全般とヘアメイクさんを兼ねることも多いです。衣装はスタイリストさんにお願いするような時は1着のみということは少なくて、候補となりそうなものを10着とか持ってきてもらうことの方が多いですかね。美術さんは背景や周りの作り込みをお願いするのですが、これが結構打ち合わせを重ねながら決めていくことも多く、どこまでやるか、どういったものが必要かで予算の振り幅も大きく変わります。この辺では、こうしたスタッフの人件費と実際に用意するものにかかる費用と両方がかかってくるということになります。たった1日の撮影でもだんだん100万円を越えるイメージが付いてきたのではないでしょうか?(笑)
いざ撮影へ!
ということで、今回は100万円以上かかるような撮影について書いてみました。スチール撮影(写真・静止画)もムービー撮影(動画)もこうした点ではほとんど変わらないです。ムービーの時の方がシチュエーションによって機材がどうとか出てくるかもなのと照明さんや映像監督などスタッフは増えるかもしれないですが、大枠の流れは同じような感じになります。僕のようなグラフィックデザイナー・クリエイティブディレクターの立場だと(僕の場合は会社が小さいので営業側・プロデューサー側の役割も兼ねているのですが)、撮影当日に至るまでの方が結構色々大変なものの当日はもうあとは撮るだけという感じかもしれないですね。もちろん当日は当日で予定通りうまく行かなければどう撮ったらいいかとか色々ディレクションするシーンは出てくるのですが、いつもそこに至るまでの方が苦労するような気がします。
それにしても、独立する前に勤めていた制作会社でもこうした予算感の撮影ってそんなに多くはなかったのですが、今自分の会社でこうした機会が増えてきているのは何だか不思議な感じがします。デザイナーと言っても一人一人持ち味は異なるものですが、僕の場合撮影に適性があったのかもしれないですね。予算がなくて自分で撮るのは例外的と前述しているのですが、実はこの自分で撮るパターンも何気に結構評判良くて、その機会も増えてたりします。いずれにしても、もっともっと良い撮影ビジュアルみたいの作れたらいいな、毎回そう思ってやっていますので、ぜひぜひ皆さま、その機会を僕に与えていただけると幸いです!(笑)