売上9,000万円、従業員7名体制に
11月決算のワッカデザインでは、ちょうど今日が期末。たまたま土曜日に当たったので今月の請求関連の業務をこなしていると未確定案件等もなかったため、そのまま今期第8期の売上が確定したというわけで、本当は色々デザインの仕事をこなさないといけないのだけど、そっちのけで経営分析に入ってしまいました。昨期の売上が8,300万円だったから売上だけ見れば108%となっているのですが、粗利ベースで見ると昨対90.2%(ただ、それでも一応黒字)。今期は前回のblogの通り、春に売上2,000万円(粗利にして1,500万円)を手放しているので、そこからすると売上が伸びているだけでも予想外の大健闘、と言ったところでしょうか。独立した10年前はチラシ1枚2万円とかで請けていて、それを500枚こなせば1,000万円だよね、とか本気で言っていたので、それからすると法人化もしているし、デザイン単価も当時からすると何倍にも上がっていて、特に今期は高額案件に恵まれた年でした。本当に運が良かった。
今年の年明け頃は従業員10名体制だったのが、春には6人となったのも前回記した通りですが、そこから半年経って、ようやく経験者デザイナーを1名迎えることができました。これは本当に嬉しい!これも別途1本のblog記事にしようと思っていますが、10月に業務が辛くて辛くて自暴自棄になった日曜の夜に、赤裸々な本音満載の採用ページを作り、instagram広告で1週間だけ配信したのが、奏功し、見事採用へ。そのまま11月に入社してくれたわけですが、入社した日から僕の抱えていた倒しきれない業務がみるみるその人へ流れていったおかげで、土日の終日業務はまだ変えられていないけど、こうしてblogを書くくらいの気力は何とか出てきた、というのは革新的な出来事だと自分では思っています。ともあれ、しばらくは今の体制で「会社」としての練度というか環境づくり、スムーズな業務体制を作っていきたいものです。
「変わった会社」と言われることも多い?会社としての特徴
デザイン業界は小規模な会社が多く、70%は売上高3,000万円未満、従業員数3名以下という中で、ワッカデザインは昨期決算の時点で全国7,000社のデザイン会社のうち上位10%、最も競争の激しい東京都でも上位20〜30%くらいの立ち位置にいるようです。これは売上高だけで見る割合ですが、実際に客先で競合する会社も最近は名の通った制作会社だったりすることが多くなってきたり、大手広告代理店と取引していた会社が自前で制作会社を探していてワッカデザインを選んでくれたケースも増えてきていて、その肌感覚からしてもそれくらいの立ち位置にいるような気はしています。ここで改めて弊社ワッカデザインの特徴をまとめてみると、
●デザイン業界の70%が売上高3,000万未満・従業員数3名以下からすると、小規模ながら「会社らしい」規模感
●上場大手企業も複数含まれるクライアントの総数は年間60社以上。売上1位の会社でも全体に占める割合は10%程度と、1社に依存しない安定的な財務体質
●大手制作会社とも渡り合える、質の高いデザイン制作
●業界や業種を問わない柔軟な制作力と、企画・デザイン・コーディング・Webマーケティングまでこなす幅広い対応力
といったところになるのかな。これをさらに実務的なところまで見てみると、
●Web制作とグラフィック制作が売上的にも体感的にもほぼ半分ずつの割合となっており、受注の間口が広い
●SEOやinstagram運用・広告運用などWebマーケティングやSNSマーケティングでも多くの顧客がいて成果を上げている
●展示会デザインやパッケージデザインといった専門性の高い分野へも積極的に進出し、それがまた知見となっている
というのは弊社的にはごく普通に行なっているのですが、この規模の制作会社でここまで多彩な案件を請けているのは相当珍しいような気はします。紙のグラフィックデザインとWeb制作がどちらが主というわけでなく両方とも専門性をもってきちんと同居しているだけでも多くはないと思うのに、SEOやら広告運用やら展示会やらパッケージやらというのは普通それだけやっている会社に頼むものなのに、いつしか彼らとも競合するようになってきていて、自分で提案書を作りながらも、何となく不思議な感じがしてしまうものです。当初はデザインの周辺もデザインの一部だよ、と自分に言い聞かせながら色々つまづいて身につけていったことだから、本当のプロフェッショナルと競合すると、あぁ、一応そこまできたんだな、と思うわけです。そういうわけで色々な意味で客先1社に全く頼っていないという体質のおかげで、相手が大手企業だったとしても妙にラフで話しやすい打ち合わせとなったり、提案の時でも少しでも売上を積もうとしたりしない正直ベースのスタンスとなったりして、それがまた顧客の印象に残ったり、相談しやすい相手になったり、というような謎の循環もあって、「変わった制作会社」と時折言われるのかもしれません。
経営的には簡易課税を卒業し、もう一段「会社」へ
最近はインボイス制度が導入されて勝手が違うのですが、個人事業主として独立したり、会社を作ったりすると、消費税の納税に優遇措置があることを知ることになります。ざっくり言うと売上1,000万円以下のフリーランス・企業は消費税をお客さんから取っても納税しないでそのまま利益にできますし、1,000万円超えても2年間は免税期間となっていました。なので、個人で2年間免税、法人化してまた2年間免税すれば4年間は消費税10%分は売上だし、そのまま粗利となるわけで、逆に言うと法人化3年目に消費税の納税が始まると、いきなり売上の10%が利益でなくなるため、これは実は財務的にはかなり痛い(業種によって粗利率は全然違うのですが、消費税は一律なので、特に粗利率の低い業種ほど売上も高いはずなので苦しい)。それでその免税期間とは別に簡易課税制度というのがあって、売上5,000万円以下の事業者の場合、業種ごとに定められた「みなし仕入率」を使って消費税の納税額を算出できる仕組みになっていて、これも業種や会社の財務体質にもよるのですが、デザイン業みたいに労働集約的(人件費が最も高い業種)だと仕入れや原価が少ないためその「みなし仕入率」の割合の方が消費税10%そのまま納税するよりも低い金額に収まることが多く、ワッカデザインでもずっと簡易課税を選択していました。これが2年前に売上5,000万円を超えたために、今年から簡易課税が選べず本則課税として10%そのまま納税する仕組みに変わるというわけです。なので免税期間が終わった時以来の消費税による財務的な圧迫がまたここで始まるわけですが、もともとこれは中小企業のための優遇措置なので、その意味ではもう一段会社としてステップアップしたとも言えるのかな。全額クレジットカードで支払ってせめてポイントにして回収しようとは思ってますが(笑)
この会社に付いていったら未来が明るい!と思ってもらえる会社づくりを
さて、前回2年ぶりのblogに記したように、今期はかつてなく「人」「従業員」「雇用」について考えさせられる1年でした。元々努力を怠るタイプではないのですが、それでもたぶん頑張る方向を間違えていた、というのが素直なここ1年の僕自身の感想で、売上を上げることで人員を揃えて環境整備するのを目指すのではなく、なんかよくわからないけどうちの会社って悪くないよね、ってみんなに思ってもらえるところをまずは目指そうかな、と。少しでも良いデザインを目指すデザイナーもいてもいいし、マイペースなデザイナーもいてもいい。デザインはしないけどお客さんと話してくるのが楽しいという人がいてもいいし、あまり話すのは性に合わないけどコードが書けるとちょっといいかも、とか思える人でもいい。そんな感じの、ある意味ですごく自然な普通の会社を、しかしながら意外にこうした普通の環境がちゃんと整ってる会社ってないよね、っていうくらいには色々と行き届いた会社を。僕自身が勤めていた頃はそういう風な会社はなかったので、実はこれって普通じゃないような気もするけど、少人数の会社だし、それが特徴の会社が1社あってもいいのかな、って今は思います。
会社はともかく、僕自身で言えば、今年はとにかく辛かったけど、そのおかげもあって、まだデザイン力は伸びている気がします。数えてみればもうキャリア20年近くなってきたのですが、それでもまだ成長できるというのは1人の専門職の人間としては恵まれたこと。グラフィックデザイナーというのに相当適性があるのはもう疑っていないので、会社は会社で育てるとして、僕個人もデザイナーとしてもうちょっと上を目指していきたい、自分で作ったエクセルの経営分析を見ていて、そう思えたのはよかった。明日の日曜日はきちんと業務をこなさないと来週詰んじゃうな(笑)