第7期を越えて、第8期が決算目前に
時折「社長手記を楽しみにしています」とか「全部読みました!」とか言われると、これは忘れてしまいがちなその時々の会社の記録とも言えるし本当は書きたいんだけど、土日も含めて本当に年中余裕なくて、そんな状態がもう2年も続いているのかと思わされていたものです。直近の記事が2022年11月12日で「ワッカデザイン第6期決算目前」となっているので、社長手記復活に際し、まずはそこから2年分、いつものようにまとめてみたいと思います。
最初に昨期である第7期=2022年12月〜2023年11月までについて、売上的には過去最高を更新し8,300万円、昨対125%となりました。比較的高額なWeb制作案件がポロポロあったのと、新規の大手直接取引案件が目を引くものの、全体として過去からの継続顧客も数字を伸ばし、売上と原価率はこれまでと同水準のまま(デザイン業は原価率の低い労働集約型の利益構造)8,000万円突破という結果になっています。社員数も8名となり、これまた過去最高。昨期に移転したオフィスビルですが、隣により広い部屋が空いたので、そちらにビル内移転するなど、見た目的にもだいぶ「会社」らしくなってきました。売上と社員数が増したので帝国データバンクなどの評点が改善されるのでは?と期待したものです。
この時点で来期である第8期に持ち越している案件も金額的にかなり多く、普通にやっていればいよいよ1億越えも夢ではないという感じでしたが、年明けに重要なポジションにいる主力のデザイナーが退職の意を伝えてきて、あらゆるものを考え直させられることとなるのでした。
第8期は赤字でもいい!会社とは何か向き合いながら、案件をこなし続ける地獄の日々
財務諸表的にはワッカデザインは「デザイン会社」の枠組みとしてはかなり良くやれている部類に入ると思います。改めて別の時に記そうと思いますが、デザイン業界は売上3,000万円以下、従業員数3名以下の会社が70%を占めるため、社長が独立・起業をしたパターンのデザイン会社としては売上も立っているし、従業員もいる、それでいて利益も出している(そんなに多くはないですが)、顧客も年間70社以上いて、売上1位の会社でも全体の10%ほどの取扱高というリスク分散的な体質というのは、客観的には評価されると思います。しかしながら、社長である僕が仕事に対して極めてストイックなこともあり、社内的にはあまり和気藹々とした雰囲気ではなく、大量の仕事を事故なくこなすことを最優先していた体質が、その一人の退職をきっかけにとても嫌なものに感じられた、というのがこの第8期という一年間にわたって僕自身に突きつけられた課題でした。
あまり飾っても仕方のないことなので正直ベースに記すと、その一人の退職の際に言わずとも無言で僕に突きつけられた選択肢、すなわち、会社をなるべく現状維持で進むのか、もう今の在り方を辞めて会社をもう一度イチからやり直すのか、という2つの分かれ道に対し、瞬間的に今の会社はダメだと思ったものの、具体的にどうするかを考えるのに、大枠で1週間、細部に至るまでは1ヶ月ほどの時間が必要でした。それで方向性を定めながらも、営業活動を行いながらどこまでなら僕がデザインできるのか?という実務的な問題もあるため(特にWeb以外のデザインは僕が全て一人でやることになる)、会社を変えるという選択肢を選んだ時点で、退職してもらわなければならない人員と諦めなければならない顧客の計算に時間がかかったというのが正直なところ。それに明確な答えを出し、実行に移すのに3月いっぱいまでの時間がかかったのでした。
僕自身も会社の雰囲気的な課題はもちろんずっと以前から感じていて、そのために早く15人体制くらいにならないといけないと思ってきたが、結局そのプランニング自体ができなかったとも言えるかもしれない。実際のところ売上1億、粗利率80%、15人体制というのは実はもう1年くらいで達成できるところまできていたから、その意味での絶望感も強かったものの、そういう戦略を取るのではなくて、今回のような改革をもっと早く、少なくとも1年前にやれていたなら、その主力のデザイナーも辞めることはなかったかもしれない。不満を抱えていたのももちろん知っていたから、僕の方こそ愛想を尽かされたという言い方もできるだろう。いずれにせよ、第8期は会社史上初めてリストラと顧客のお断りをすることとなった。このまま会社を続けていくのなら、続けられるような職場環境づくりも必要になるので、極論第8期は赤字になっても仕方ないと自分に言い聞かせながら今に至る、というわけです。
結果的には黒字決算の見通し+売上は昨対110%増に
今月末が決算なので正確な数字はまだわからないけれど、このまま行くと第8期は黒字決算の見通しで、売上も昨対110%増になりそうなところに来ていて、春にトータル2,000万円くらいの売上を手放していることを考えるとその上で増収というのは自分でもびっくりですが、今期はかつてなく大企業の高額案件が多く、売上は立つけど原価も数百万とかかるような仕事が多かったから、粗利ベースで見ると昨年と比してちゃんと(?)落ちています。人員も減っているので、最終的に黒字はキープできたわけだけど、それよりも社内の雰囲気が改善されているように感じられるのには正直ホッとしていて、今を最低限のベースとして、来期もそれを最優先に会社運営していきたいなと思っています。同時に世の中の流れ的にも規模を追うような時代じゃないともすごく感じていて、今後人口減少社会という避けようのない無理ゲーな世の中にあって、それでも社員含めて充実して生きていけるだけの会社になりたいですね。よく言われることですが、フリーランスや一人社長に戻る気はなく、僕としては「会社」でやっていくことの方が価値を感じているので、難しいところもあるけれど、なんとかやっていきたいものです。
ただまぁ僕個人で言えばこれまでの仕事人生で最も負荷が強かった年だったのも間違いなくて、徹夜は30回くらいしただろうか、土日も朝から夜中まで仕事するのが普通になっているので、たぶん精神科に行けば鬱診断くらいはもらえただろうくらいに過労が続いていて、ある時計算したら、なんと月の労働時間が400時間を越えているのだ。しかもそれが年明けから10月までずっと続いて、今月になってようやく少しバランスを取り始めることができ、それもあってこうして2年ぶりの社長手記記載ができたとも言えるのかもしれません。こうして少しできた時間を使って、この社長手記と実績の更新くらいは定期的に行えればと思ってます。それではまた、近いうちに。