デザインにおける感情

こんにちは!新人デザイナーのサエカです。入社して三ヶ月が経ちました。新卒社員は入社三ヶ月目辺りに壁にぶつかる、という話をどこかで聞いたことがあるのですが、私も例に漏れず壁にぶつかっております。ある意味順調と言えるのかもしれません。さて、今回はそんな私の頭を悩ませる原因となっている、デザインにおける感情について書いていきます。

世の中のデザインは人々の感情を動かしている

例えば、寒さが身にしみる程しんしんと冷える冬に、レストランの店頭に飾ってある体の芯から温まりそうなメニューのポスターを見た時。「あったまりそうだな」、「これ食べたいな」と思ったことはありますか?ポスターを見ていたら食べたくなって、実際にそのお店に入った経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは無意識であれ意識的であれ、デザインを見る人々がそのデザインに共感することで起きており、言い換えれば日常で見かけるデザインは人の感情を動かしているのです。これだけだとなんだか壮大ですが、この共感は実は伝わるべくして伝わっています。

デザイナー=確信犯

共感を呼ぶデザイン制作で重要となるのは、リサーチです。例えば一言でカフェといっても、主な年齢層やメニューの値段、店の立地場所、スタッフの雰囲気、設備やサービスなど。それらの要素が違うだけで、当然ですが変わってきます。また、要素が似ていても、空気感やそのカフェのファンがどういう目的で来店しているのかによっても、印象は違ってくるものです。その微妙な差を、デザイナーは実際に来店してみたり、店頭ポスターや店内の印刷物のデザインを見たり、というリサーチをすることで明確にし、ファンや見る人が共感するデザインに仕上げていきます。言わばデザイナーは確信犯で、そのデザイナーの狙いがデザインという表現力となって、私たちが商品を買いたくなったり、店に行きたくなったりするように働きかけているのです。

それをデザイン制作時に行うには?

「デザイナーが意図的に共感を呼べるデザインを制作していて、それが私たちの感情を動かしている」。理屈は理解できましたが、頭では分かっていても実際にやってみるとそう上手くはいかないものです。デザイン制作をしようものなら、「自分が決まったと思えるような行間の広さって何?」や、「この画像のトリミング、直してと言われたけど何故これだとダメなのか分からない……。調整したけど本当にこれでいいのかな?」、「案件の雰囲気やコンセプトに沿うようにしながら、見る人にどう感じて欲しいのかも考え始めると混乱してくる」など、分からないことだらけで結局着地点が見えないという状況に毎回陥ります。どうしたらこの状況を抜け出せるのか。社長や先輩社員さんから伺ったアドバイスやお話を基に考えてみると、まず自分が世の中にあるデザインを見てどう感じているのか、という自分の感情の受信感度を上げる必要があるなと思いました。事実、他のデザイナーが作ったデザインを見ても、デザインの分析から始めてしまい(分析も大事ではありますが)、「かっこいい」「綺麗」と感じても何故そう思ったのか理由が曖昧で、自分でもよく分かっていない時がしょっちゅうだからです。また、ささいな感想を「大した考えじゃないかも」と否定しがちでもありますが、そのようなパッと出た感想こそ感情に近いような気がするので、そこから理由を深掘りして派生した考えを広げていけば、少しずつ受信できる数が増えていくのかなぁと、分からないなりに推測しています。

人に見せるものだからこそ重要な感情の話でした。確固とした答えがないため簡単にはいかないでしょうが、少しでも早くこの壁を乗り越えたいものです。

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