新人のグラフィックデザイナーを育てよう!

デザインを教えるって結構大変かも?

6月1日より遅ればせながらワッカデザインにも今年の新卒採用による新人が入社してきました。弊社ではまだテレワーク実施中なので事務所には社長の僕しかいないのですが、それでも新人が入ってくるとこちらの心持ちもリフレッシュされるものです。デザイン業界の大半を占める数人規模の小さなデザイン会社では研修らしい研修をやっていないということも多いと思いますが、うちも例外ではなく、初日からいきなりiMacの前に座りIllustratorとPhotoshopを起動するという、昨日まではただの素人だったのが見た目にはプロのデザイナーになる何とも不思議な日。グラフィックデザイナーという職業は特に国家資格等必要ないので、名乗りたければ今日から名乗れるし、名乗ってみれば意外と周りもそういう目で自分を見てくれますが、いざきちんとお金が稼げるかは100%実力の世界なので、見た目だけでなくこれから長い時間をかけて本当の意味でグラフィックデザイナーになれるかどうかが大事だし、こちらもそうなってもらえるようにうまいこと育てないといけないんだなと思わされます。

グラフィックデザイナーに限らず、どんな専門職もそうだと思いますが、それが専門職である以上「基礎」とか「下積み」とか言われる部分がきちんとしているかどうかでその後どこまで伸びていけるかが左右されてしまいます。案件をきちんと誤解なく理解することとかお客さんの要望がどこにあるとかそういったビジネス上のやり取りの部分だけでも結構大変だと思いますが、デザイン面での「基礎」、つまりレイアウトがきちんとしていること、案件の本質に合った表現を行うこと、その2点があらゆる案件でできるようになるには早くても10年くらいかかってしまうので、教える方も教わる方も結構な量の忍耐とたゆまぬ努力が必要です。自分を振り返って見ても20代は辛いことが本当に多かったので、正直二度とやりたくないと思っていますが、その20代があったから今の提案力があるのは間違いないので、本当の意味で一人前になるには誰しも避けては通れないものかもしれません。

基礎的な技術でも興味を引き出したい!

フォントがどうとか、マージンが何mmとか、色の値がどうとか、オブジェクトの配置がどうとか、レイアウトの基礎というのは、時々いるよほど興味のある人を除くと無下にされがちですが、教科書的にルールとして認識されてしまうと確かにものすごくつまらない感じがしてしまうように思います。最終的には物事をきちんと伝えるために今回のデザイン表現はこういうもので、レイアウト的にはこうなる、というものであるため、ルールというよりは伝えるための一つの手段としてレイアウト手法は存在します。なので、一つ一つ配置の意味と見え方の違いをリンクさせながら情報伝達のテクニックとして身に付けることができたなら、同じ内容を伝えるにしても見る人に優先順位を明確にさせたり、押したり引いたりとかのニュアンスを出すのがお手のものになると思うのです。そしてその時はレイアウトは作業レベルに落とすことができるため、肝心のデザイン表現に能力を集中させられますし、デザイン表現をレイアウトでサポートすることも可能になります。よく大手の会社だと「ブランディングガイド」の規定があったりしますが、それは目に見える形でそれらをまとめたものと言えて、まぁそこまでしなくても、一つのチラシやパンフレットを作るにしても伝達力の高いものが作れます。

なので、僕としては現状から1mm変えるなら1mm変えることへの意味合いを感じさせたいと思って教えます。例えばそれでより2分割らしさが出るのなら、情報の整理として一瞬で2つの情報が平等の関係でそこにいることが認識できるようになるとか、あるいは色合いで言うならシアンを10%落とすなら、隣にいたブルーのオブジェクトと差がはっきりしてわかりやすくなった、とかそういうことですが、その時もなるべく理屈(=ルール)ではなく、見た目の印象・人間の感情で理解することが大事なので「ほら、2分割らしくなったじゃん!わかる??」とかよく言うため、人によってはわけわかんないこというメガネ(僕のこと)だなぁと思っているかもしれません。いつもデザインの指導も大変なことだと思わされていて、もっとうまい伝え方はないか模索はしていますが、結局目の前のもの一つ一つをわかってもらう以外にないのと、これが表現の方になるともっと理屈から離れる部分が増えるので、今日もまた新人にはしらーっとされながらメガネ語をのたまっている、そういうわけなのです。

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