デザイナーの会社経営 2019年夏の雑感

そろそろ個人事業から会社の事業に変わるのかもしれない

デザイン業界は小さな会社がとても多い業界で、その70%は売上高3,000万以下の会社だと言われています。まだ弊社ワッカデザインの決算は11月末なので今期(第3期)の売上高は定まっていませんが、3,000万円を超えるのは確実なので、独立して5年目、会社にして3年目にて、業界としてはそれなりにやれている会社になった、という風になるのでしょうか。実際には原価率、人件費や固定費などで利益は大きく変わるのだから、売上高がいくらだから良いとは言いづらい気がしますが、依頼される案件の内容も「デザイン会社」らしいものが今年は特に増えているので、その意味からも「それなりにやれているデザイン会社」と言っていいんでしょうね。未だに僕の個人事業的なスタイルでそのまま来ているから、あまりピンとは来ないのですが。

独立してからというものの常に限界量の仕事をこなしていて、いつももう限界、もうなんとかしないと、と言って人を雇ったり、法人化したりした経緯ですが、僕個人という意味では今年はその中でも特に限界を極めた感じで来ています。土日や休日がないのはもはや当たり前で、早朝から夜中までほとんど休憩もなくデザインし続けているため、ミスも増えたし、怒りやすくなったし、だんだん鬱っぽくなってきた。優に月350時間以上働いている計算になりますが、何のために生きているのか、何のために仕事をしているのかわからなくなり、全てを投げ出したい衝動にかられるのを何とか理性で抑え込んでいる、そんな感じがアリアリとしてきて、ちょっと本当に良くないと思い、業務の見直しを考えざるを得ないのかな。今日は「雑感」なので、これ以上まとめませんが、11月の決算までには一定の答え、方向性を定めようと思っています。これも最適解を出すのがなかなか難しくて。

人と違うということ

僕にとっては「グラフィックデザイナーになろう」と思った時に、それまで歩んで来た「普通の人」という路線を捨てたのかもしれません。大学受験をし、それなりに名のある大学へ入り、経済学部で学び、大きな会社に就職する。趣味は合唱で、自分で団体を作ったりもして趣味の領域を超えるほどには活動していたように思いますが、とは言うものの土日でできる枠内だから今の人生ほど突き詰めてはいなかったかな。そういった「普通」という価値観に限界を感じて「営業」を辞めて美大も出ていない、専門学校も出ていない癖に「グラフィックデザイナー」になり、初めて自分で切り開く人生にワクワクしたものです。思えば中学や高校の頃も大学の頃も社会人になってからも、どうもいつも多数からは浮いていたのだから、「普通じゃない」方が僕にとっては性に合っていた、ということなんでしょうかね。

だからなのか、会社を経営し人を雇うようになった今でも、基本的に人はみんな異なる人でいいと思っています。良くも悪くも小さな会社なのだから、別に僕の考え方、僕のデザイン手法を真似しなくたっていいのです、デザインさえきちんとやれていれば(クオリティ面・技術面での指導は従ってもらいますけどね)。人にはそれぞれ得意な領域もあれば、人生で果たすべき役割も違っているのだから、無理に一つの考え方に縛らなくとも、伸び伸びとその人の出来ることを最大限の力で発揮してくれた方が、結果、クリエイティブを生み出すことを生業としていることもあって、会社のためになるハズ。そして会社自体も「普通のデザイン会社」に見えない方が良い。案外よくいる「クリエイター」っぽい売り方をしている方がよほどレッドオーシャンな気もしなくもないんですよね。うちの会社は今のところ激烈な競争には晒されていないので。

今でこそ「ダイバーシティ」とか色々論調がありますが、「人と違う、それで良い」という価値観は、表面だけやる分には簡単ですが、きちんとやろうとすると実は結構難しいものです。自分で考えて自分で行動する、互いに認めあうということが「普通」となった時、結構世の中には良い空気が生まれるような気がするんですけどね。

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