デザイン力を身につけるにはどうしたら良いのか

どうやってデザイン力を身につけましたか?

早いもので、新卒社員が入社する4月まであと1ヶ月あまりとなりました。そもそも求人など出したことのない小さな会社が縁あって新卒採用を行うということ自体が僕にとってはなんたるチャレンジング!という感じで、内定通知書一つ作るにも社労士に相談してその意味やリスクなど教えてもらったりしたものです。それから早半年。その間に辞めた人もいるし、良さそうな人がいれば一人一人会ってうちの会社の話をしたりしているうちに、デザイナーを雇用するということについてより深く考えさせられるようになりました。中途だろうと新卒だろうと入社してもらう以上は、1日でも早くしっかりとしたデザイナーになって欲しいのですが、その道筋は非常に不透明。結局「デザインって何?」に向き合わざるを得ないし、その「デザイン」そのものが実はかなり不明瞭で、業界的にも教え方など確立されていないからです。

僕自身きちんと教えてもらった記憶はありません。デザイナーとしては4社経験していますが、そのどこも指導という感じの指導はほとんどありませんでした。ただ、デザイン自体は街中にあふれているので、「見て盗む」「何が良いのか考える」というのはかなり早くから実践し続け、今なおそれは続いているというのが一つの財産なのは間違い無いのですが、かと言って、それではあまりにも個人の資質のみに拠ってしまうのと、すでに業界的に「わかっていること」も自力で気づき、実践し、身につけるという「遠回り」をしないといけなくなるため、それはそれで必要だと思うけれど、会社としての教育の根幹にはとても据えられない。だから僕自身「どうやってデザイン力を身につけましたか?」と言われても大した答えはできないのに、デザイン教育についてはこれまでよりきちんと出来ないと本人のためにも会社のためにもならないということだけはハッキリしている、とても気持ち悪い状態なのです。

「レイアウト」と「表現」と「発想」と

結構軽視されがちなのですが、「レイアウト」は絶対に身につけなければいけません。これがあやふやだとデザイン全体に与える影響が大きくて、伝わるものも伝わらなくなるからです。ただ、この「レイアウトを楽しめる人」というのはどうも極めて稀で、こればかりやっていると、デザイン自体を窮屈に感じて楽しめなくなる恐れがあるのが難しいところ(逆に言えばこれは一から十まで説明できる技術なので、デザイン的な才能がなくても身につけることができます)。「デザインすることが楽しい」の方がレイヤーとしては上なので、そもそもレイアウトから楽しめる人だと教える側としては非常に助かるのですが、正直これまでどの職場でもそんな人は自分以外にはほとんどいなかった気がするから、うまい具合に「自分で表現すること」と「自分で発想すること」を織り交ぜていかないと良いデザイナーには育たない。そうはいっても実際の案件ではそう都合良くできないから(レイアウトレベルで片付く仕事というのは多いのです)、そこをどうするか。

本当は「表現」と「発想」こそがクリエイティブそのものであり、デザインという仕事の本質なのですが、最短距離で成長するなら実は比較的後回しにして良い気はします。これが一番楽しいところなのですが答えのないところでもあるので、その種だけは日頃から数多く撒いといて「レイアウト」がある程度身についた時に実は表現力も発想力もだいぶ身についてました、という風にできないかな、と。デザインはアートではなくビジネスとしての視覚表現なので、人類史上唯一絶対のオリジナリティを探し当てる必要はなく(いわゆる「スタークリエイター」ならそういうこともあるとは思いますが)、むしろより多くの人たちに共感を呼べるだけの共通性を理解しないといけない。「センス」で片付けられるあやふやなもののほとんどもこの中に入るので、まずはそういったところが確実にこなせる「一人前のデザイナー」になること。その過程をできる限り「デザイン的に楽しくする」こと。そのためにはどうしたら良いか、それが僕の課題であり、かなり近い未来に実践しつつもっともっと良くしていかなければならない部分、というわけです。

グラフィックデザイナーに限らず10人いて10人が一人前になれるわけではないのが専門職。才能は絶対的に必要です、努力ももちろん必要です、だけどそれだけのせいにしてはあまりにもあんまり。うちは小さな会社かもしれないけど、「デザインとの向き合い方」を体系化したい、最近特に必要性を感じている、ちょっとした僕の野望です。

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