ポートフォリオでどうこうするわけじゃないけれど
昨年末の法人化に合わせ冬休みの宿題としてこのサイトを制作、最初から完全に作り上げるのはとても大変なので、ポートフォリオ部分もブログ部分も後からきちんと仕上げればいいと思い、中身の充実よりもひとまず見せられるレベルになることを優先していましたが、あれから数ヶ月経ってようやくポートフォリオ部分に手入れをしました。デザイナーにとっては転職する際や自己紹介する際など、独立する前も含め、幾度となくポートフォリオをまとめなければならない機会はあるものですが、実のところ毎回とても大変だったりします。自分というクリエイターが今どういうクリエイターで、今後どんなデザインをしていきたいか、ということがハッキリしていないとそもそもどの仕事を載せれば良いか判断がつかないし、その辺りがハッキリしていないポートフォリオだとどうしても「意志」や「意図」の欠けるクリエイターに見えてしまうからです。自分って何?という青春時代かのような頭の痛くなる課題に向き合うのは大人になってからはそうそうないと思うのですが、ポートフォリオを作る際は避けては通れないのです。
とは言え、いくらデザインの仕事であっても、自分のクリエイティビティが100%発揮されて、これこそ自分です、となる仕事はなかなかあり得ないもので(と言うか、そう志向すること自体がクリエイターとしてはまだちょっと程度が低いような気がします)、ポートフォリオ全体としてどういうレベルでどういう仕事ぶりをしているかを伝えるために作品を並べる形になるとは思うのですが、それでも結構難しかったりします。誰もが知っているような大手企業の仕事なら意思決定者や利害関係者も多いし、そもそもデザインのトーン&マナーも厳しかったりして、デザイナーの個性云々という仕事になりづらかったりしますし、そういう意味では中小企業の仕事はトップさえGOを出してもらえれば思い切ったデザインをすることが出来ることも多いですが、ポートフォリオがそればかりだとリスキーなクリエイターだと思われかねないし、といった具合で、とかくポートフォリオは悩ましい。しかも今回は就職活動ではなくて、小さなデザイン制作会社のWeb上のポートフォリオなので、となってくるともう本当に面倒になってきて、どうせWebサイトから仕事を取ってくるわけではないから、もうそんなのなくてもいっか、という気持ちになりがちです。
自分の仕事を自分の仕事として埋葬するようなもの
それでも日々の仕事に忙殺される中で、きちんと自分の仕事と向き合う機会というのは自分の仕事のクオリティを維持する意味でも大切だったりするので、時間を見つけてはあらゆる仕事をjpg画像やpdfにしてまとめて保存しています。タイミングによって「思っていたよりきちんと仕事しているじゃん」って思えることもあれば、「どれ一つとして大した仕事してないな」と思うこともあります(もちろんどの仕事もビジネス上の課題があって、それをデザインという形で答えを出し、それが認められて校了に至っているのだから、その意味では全く悪く思ってはいないし、むしろ誇りに思っていますが、それとクリエイティビティは必ずしも一致しないので、あくまでクリエイターとしての志向の問題です)。そうやって仕事を完了してからある程度時間が経ってから自分で整理する時になって(あるいは実際に現場で使われている姿を見ることで)、ようやく自分の仕事がどうだったか認識でき、その時にやって良かったな、と思えるものは、ちょっと上等なファイルにまとめています。そしてそれらを眺めていると、時には何でも出来る気がすることもあるけれど、そうではなくて、やっぱり自分のクリエイターとしての方向性は見えてきたりするもので、それはとても心地よかったりします。ひょっとしたらそうやって「しまう」行為が次の仕事のために必要なのではないでしょうか?
残念ながら小さなデザイン会社には小さなデザイン会社なりに利害関係とか色々あったりして、掲載するのをためらう作品も多いので、それらはごっそり省いてしまってますが、残った中から見せてもいいかなと思える仕事をこのサイトのポートフォリオにまとめてみました。デザイナーになってもう10年近くになりますが、正直なところまだまだ学ぶことも多く、毎日のように何かを発見していくような中で、なかなか完璧にとはいかないですが、それでも本質的な表現の部分では悪くない作品ばかりのつもりです。もっともっと良い仕事をして、このサイトも見応えのあるものにしていければと思っていますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。