2016年を振り返るー経営編ー

きちんと働くなら15平方メートルに2名は狭過ぎる

 

転職活動が面倒になって、大したビジョンや採算の見通しもないまま独立、個人事業主となった時に借りた事務所がワンルームの15平方メートルのものです。同じくフリーランスの友人と折半のような形でしたが、彼はいる日/いない日があるので、大して狭さを感じることはなかったものの、今年の3月に正社員1名を雇用してからは、常時2名、時に3名という状態になり、背中合わせの空間がいかに不要な緊張感をもたらすかを実感することになりました。外出の多い仕事であればそこまで気にならなかったと思いますが、常に大量の仕事を抱えて朝から夜中までいる場所としては、ちょっと微妙。デザインという仕事が世間的なイメージと異なり、センス云々の前に考えることのウェイトが大きく、そのクオリティ担保のための人間的な居心地というのは無視できないということだと言い換えられるかもしれません。

 
ともあれ、年内に法人設立を前提として、10月に1ヶ月かけてまた飽きずに「青春の地」池袋界隈で新しい事務所を探すことにしました。今回は30〜40平方メートルくらいで家賃10万円〜15万円という物件探し、対応が良かった以前と同じ不動産屋にお願いして20件くらいは見たでしょうか。内見だけでも10件以上見たと思いますが、「キャバクラ発祥の地」という側面を持つ池袋の客引き力をこの2年弱で痛感したので、間取りはともかく場所は結構悩まされました。最終的には残念ながら第一希望の物件は借りられなかったものの、第二希望の物件で落着。業務用プリンターや大きめの本棚等はあっても全体としては最低限のものしか備品もないので、引っ越しはとてもスムーズに行き、デスクやiMacを買い足したり、カリモクの応接セットをオークションで格安購入したり、年末になってようやく新しい事務所として整ったというところです。年明けから自分+正社員3人の常時4人体制になりますが、もう1人増えてもこのままで大丈夫でしょう。前の事務所をこんなに早く引っ越すとは思っていなかったので、先のことはわかりませんが。

 

フリーランスからデザインの制作会社へ

 
まさか自分が会社を設立することになるなんて独立当初は思ってもいなかったことですが、1年目の確定申告を終えて従業員を雇ってからはこのままじゃいけないと思うようにはなりました。それで実際12月5日に株式会社ワッカデザインを設立したのですが、確かに登記上は代表取締役になっていて歴とした経営者であるものの、良いのか悪いのか実感は全くなかったりします(逆にプレッシャーもないのですが)。デザインやディレクションだけではなくて、売上数字を伸ばす楽しみや経理的な興味、総務的な喜びは併せ持っているつもりなので、フリーランスのグラフィックデザイナーの中では経営者に向いている方だとは思っていますが、だからと言って実際に自分が経営者になって会社を導く人生を選ぶ日が来るとは。嫌だとかやりたくないのにとかそういうわけでももちろんなくて、ただ状況の改善と向き合っていたらいつしか個人事業主になっていて、さらに改善しようと思ったら設備を購入したり、従業員を雇ったりしていて、それでも無理があるから今度は会社になった、それが客観的には経営者ということになった、それ以上でもそれ以下でもなく、それだけのことなんですけどね、不思議ですね、何となく外から見たイメージとはだいぶギャップがあるような気がします。

 
なので、会社になったからと言ってやることは変わりません。ただ従業員が増え、ディレクションのウェイトを上げるだけのことです。あ、とは言え、「もう面倒なことはしない」というのは法人化がきっかけなので、会社ならではなのかもしれないですね。つまり、これまで全て自分で行っていた経理関係/労務関係は完全に外注することにしました。金額的には結構高くついていますが、その辺は経営的視点の勉強だったり、補助金だったり、で結果として取り戻せば良いので、ひとまず1年はこの体制でやってみようと思っています。それが上手く行って利益を生めば再来年も継続できるし、残念ながら利益を生めなければ何かを諦めるということになるでしょう。なるようにしかならないし、それを予測するのは難しいので、一日一日をしっかりやるしか出来ることはないのです。

 

そうだ、blogを書こう!

 
これは何度宣言してその度に挫折しているかわかりませんが(笑)先日またも言われました、全然想像もしていなかった人からいつも読んでいるから書いてくれ、若い人にも読ませているので、と。そもそもこのwebサイト自体宣伝したことはない上に、blogが載っていること自体全く目立っていないのによく見つけてもらえるな、と思います。好きは好きなんですよね、文章を書くということが、文字を使って物を出来るだけ正確に伝えるということが。「グラフィックデザイナー」という生き方は、世の中において圧倒的に少数でしかも常識と離れたところにいる側面もあって、それだけでとても興味深く面白いものだと思います。また、僕自身変わっているのか変わっていないのか、考えていることや感じていることを文章にしてみると、ちょっと何か変わった空気感が生まれている気がするのは、自分が読んでいてもそう思います。時々読み返すのですが、たいてい面白くて全部の記事を読み返してしまい、その際に微妙に表現したいことと伝わるニュアンスが違うと思えば書き直したりもしています。もう若者ではなくなってきたせいか、その時その時の思いや考えをすっかり忘れてしまうということも増えてきたので、結構自分にもプラスなんじゃないかな、と感じてはいるんですけどね。

 
ランチェスターじゃないですが、グラフィックデザイナーだけではありふれているものの、グラフィックデザイナー×経営者ともなればだいぶ絞られる気もします。グラフィックデザイナー×経営者×文才ということになれば異なるジャンルを3つも跨いでいて凄く良い気もしますが、そこまで変な自信は持てないです(笑)もっと深く物事を考えられるようになる工夫の一つとして、今度こそblogをきちんと書ければと思います。懲りずにまたよろしくお願いいたします!

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