まずは紙切れ2枚を税務署に提出しよう

 
グラフィックデザイナーが一口に「独立する」と言ってもその方法は大きく分けて2種類あります。一つが個人事業主としてフリーランスのデザイナーになる方法で、もう一つが制作会社として法人を設立する方法なのですが、今回は前者のフリーランスになる場合の手続きについて紹介することにします。法人の場合は法務局へ登記するなどの手続きや費用も必要になってくるので、もうちょっと色々面倒なこともあったりするものの、フリーランスの手続きはそんなに難しいことはありません。というのも、自分の管轄税務署(一般的には住んでいるところの管轄)に「個人事業の開業・廃業等届出書」1枚出すだけだからです。
 
では、この1枚にどんなことを記載するのかと言うと、自分の住所(納税地)、名前、年齢などの個人情報と事業の概要をさらっと書くだけ。事業の概要も「広告・販促物・webサイトの企画・デザイン」とかそんな簡単なレベルで構わないので、その1枚を提出。僕の時もそれで提出だけして何となく不安になって「これで終わりですか?」って聞いたらホントにそれで終わりだと言うのだから、「独立する!」という世間一般のイメージとは裏腹に簡単なものなんだなぁと思ったものです。それで人によって青色申告とか白色申告とか確定申告の希望があると思いますが、青色申告を選ぶ場合はここで「所得税の青色申告承認申請書」も提出します。これまた簡単な書類で、名前やら何やらを書いて「複式簿記」のところに○を付けて必要な帳簿のところにいくつか○を付けるだけ。それだけで「独立の手続き」自体はもうお終いなので、これからは誰の目もはばからずに「フリーランスでグラフィックデザイナーやってます!」と自信を持って言って良いというわけです。
 

国民健康保険と国民年金に入ろう

 
これらは市役所とか区役所とかで手続きするのですが、別に独立特有の手続きというわけではないものの、多くの場合独立する際にやることになるだろうからこれも触れておくことにしますね。まず健康保険の方はサラリーマンの頃は会社で入ってくれていたものを、今度は自分で入るというわけですが、前の会社の健康保険を2年間継続することもできるので、国民健康保険に入るかどちらか、ということになります。いずれにせよその金額は前年の所得や固定資産で決まるので、どちらの方がお得か金額が気になる方は調べなければならないのですが、こだわりがないなら国民健康保険に入れば良いと思います。ちなみに前の会社の健康保険を選んでも支払う額は勤めていた頃の2倍になってしまう。さすがに辞めた人の分を会社は折半してくれるわけありません(笑)
 
国民年金の方はそういった選択肢のようなものはなく、とにかく国民年金に加入することになります。ただ、会社で払っていてくれていた上乗せ部分の厚生年金やさらに上乗せ部分の厚生年金基金などは当然なくなってしまうので、似たようなものが必要であれば国民年金基金などに自分で入るという形になります。民間の個人年金とかもあるし、年金とは違うけれど小規模企業共済とかもありますが、手持ち資金の余裕具合もあるでしょうし、その辺りは人それぞれのライフプラン次第なのかな、と思います。ともあれ、必須なのは国民年金に加入するということだけということですが、配偶者がいる場合は当然のように扶養もなくなるので、これからは配偶者の分も払うことになります。人によっては結構金額が膨らんでしまいますが、これはどうしようもないので、独立資金を考える際に覚悟しておくしかないですね。
 

年金の支払いが苦しければ特例もある

 
これは僕も独立する時には知らなかったことなのですが、年金には収入の減少や失業等により保険料を納めることが経済的に難しいときの「保険料免除」や「納付猶予」の制度があり、これも独立特有の手続きというわけではないものの、独立する際には大抵の場合認められるようですので触れておきますね。もちろんきちんと保険料を支払った場合の年金受給額より払っていない分は減ってしまうのですが、この制度を利用した上での保険料免除は未納扱いにはならないので、未納になってしまうくらいなら申請した方が良いということです。グラフィックデザイナーの場合、頑張って仕事をした分の報酬が振り込まれる際には源泉徴収されてしまう上、住民税は普通に払わなければならないため、とにかく1年目は税金もきついという人は少なくないと思います(というか僕自身が苦しいです)。まぁそういうのもあるよ、ということで。
 
勤めていた会社にもよるだろうと思いますが、いかに会社員時代は守られていたかというのは多かれ少なかれ独立してから実感するもので、僕自身も色々調べていたにも関わらず痛感している今日この頃。個人的には独立4ヶ月目でそろそろ資金的にも余裕がなくなってきたので、正直なところ毎月月末が近づくと通帳を開いてはスリルを味わっているが、何とか仕事を作り、少なくとも生きていける分は稼がなくてはならないというわけです。デザインの仕事自体は独立して本当に良かったと思えるから、ここを乗り切って2年目、3年目へとつなげたい。頑張ろう!!